結論
日本の国税庁は2026年9月24日に国税システムの更改を予定しており、e-Taxでは8月28日時点で送受信、電子署名、CSV変換などの関連モジュールの更新予定が改めて公表されています。この変更自体は新しい税率を導入するものではありませんが、中国など海外に居住しながら日本不動産を所有・賃貸・売却する非居住者にとって実務上重要です。日本で確定申告、納税管理人関係の届出、源泉所得税関係手続、法定調書等を電子処理する場合、9月24日前後のシステム変更、新様式、電子交付方式を確認する必要があります。
何が変わるのか
国税庁の案内によると、国税システム更改に伴い、一部の書面申告書、申請・届出書、法定調書の様式が変更されます。また、納付書・所得税徴収高計算書については、従来の8桁の「整理番号」欄が13桁の「お問い合わせ番号」欄へ変更される予定です。e-Taxの接続環境では、IPアドレスが固定方式から動的方式へ変わるため、IPアドレスを指定して接続している事業者や税務ソフト利用者はURL接続へ変更する必要があります。
電子交付も9月24日から変更
処分通知等の電子交付対象が拡大され、電子交付への同意方法も原則として「申請等の都度の同意」から「事前の一括同意」に変わります。これまでe-Taxで電子交付を利用してきた場合でも、引き続き電子交付を希望する利用者は9月24日以降、一括同意手続きを確認する必要があります。海外在住者は郵便物をリアルタイムで受領しにくいことがあるため、電子通知の適切な設定は特に重要です。
中国人日本不動産投資家への影響
中国本土に居住して日本でマンションや一棟物件を保有する投資家は、所得税法上の日本の非居住者となっているケースがあります。日本の非居住者であっても、日本国内不動産から生じる一定の賃貸所得や譲渡所得は国内源泉所得となり、日本で申告・納税が必要になる場合があります。今回のシステム更改によってこの課税原則が変わるわけではありません。しかし、税務代理人や納税管理人が旧帳票、旧システム設定、旧通知方式を前提に作業すると、提出・通知確認の遅延につながる可能性があります。
売却案件では特に期限管理が重要
日本の非居住者が日本不動産を売却する場合、一定の条件下では買主側に10.21%の源泉徴収義務が生じます。この10.21%は最終税率ではなく、売主は確定申告によって実際の譲渡所得に基づく最終税額を計算し、源泉徴収済み税額と精算できます。そのため、売却契約、決済、源泉徴収、納税管理人選任、確定申告までの書類連携が重要です。システム切替時期に決済する案件では、使用する納付書や電子手続が旧仕様か新仕様かを事前に確認することが望まれます。
賃貸案件でも同様
非居住者に日本不動産の賃料を支払う場合、支払者に20.42%の源泉徴収が必要となるケースがあります。ただし20.42%は賃貸所得の最終税率ではありません。日本側で確定申告を行う場合には収入と必要経費等を基礎として最終税額を計算し、源泉徴収済み税額との精算を行うことになります。今回のe-Tax更改は税率変更ではなく、これら既存の税務手続を処理するシステム・帳票面の更新です。
実務チェックリスト
- 9月24日前後にe-Taxを使う場合、メンテナンス予定を確認する。
- 税理士・納税管理人・管理会社が使用する税務ソフトの更新状況を確認する。
- 書面提出では最新の帳票を利用する。
- 電子通知を利用する場合、一括同意が必要か確認する。
- 海外住所、氏名漢字、連絡先など登録情報を再確認する。
中国側申告との連携
日本で申告した所得と税額は、中国の税務居住者が中国で国外所得を申告する際の基礎資料となる可能性があります。日本の確定申告書、納税証明、源泉徴収関係資料を電子的に取得・保存できる体制を整えることで、中国で外国税額控除を検討する場合にも資料管理が容易になります。
一次情報と確認日
e-Tax「国税システムの更改に伴うe-Taxの仕様公開と送信試験」を2026年9月11日に確認。関連モジュールの更新予定確認表は2026年8月28日更新と公表されています。