結論

国境を越えた税金の回収協力に関する国際的な能力強化が進められている。OECD税務透明性グローバル・フォーラムは2026年10月13日、国境を越えた税金債権の回収支援をテーマとする初のアクセラレーター・プログラムが終了したと発表した。今回の発表は、直ちに日本と中国の間で新たな徴収権限が発生したことを示すものではない。しかし、日本不動産を保有する海外投資家にとって、納税義務の履行と税務記録の管理が重要であることを改めて示している。

今回何が起きたか

OECDによると、プログラムには24の法域が参加した。ベルギーの連邦財務当局との協力に加え、フランスの財政当局も関与し、参加法域が税金債権の国際的な回収協力に必要な制度や実務能力を理解し、改善することを支援した。OECDは、この取り組みが国際的な税金回収協力の実効性を高めるための能力構築であると説明している。

税務情報交換との違い

税務情報交換と税金債権の回収支援は別の制度である。情報交換は、課税関係の確認や税務調査に必要な情報を当局間で提供する仕組みである。一方、税金債権の回収支援は、一定の法的枠組みの下で、他の法域の税務当局による税金の回収を支援する仕組みである。

実際に国際的な回収支援が可能かどうかは、関係する国や地域が参加する条約、国内法、対象税目、留保、手続要件などによる。OECDの研修プログラムに参加したという事実だけで、当該法域間の徴収協力が新たに成立したと判断することはできない。

中国人投資家への影響

中国本土に居住し、日本に賃貸用マンションを所有する投資家の場合、日本国内の不動産所得について日本での申告義務を検討する必要がある。日本に住所がないことや、賃料を海外口座で受領することだけで、日本の納税義務が消えるわけではない。

日本の税務手続を海外から行う場合には、納税管理人の選任、申告書の提出、納付期限の管理などが実務上の課題となる。税金の未納が発生した場合の取扱いは個別の事実と日本の法令によるため、海外居住者であることを理由に徴収されないと考えることは適切ではない。

購入時の実務

購入段階では、売主の居住者区分と源泉徴収義務を確認する。非居住者等から日本国内の土地・建物等を購入する場合、原則として買主が10.21%を源泉徴収する制度がある。一定の個人による自己または親族の居住用購入で対価が1億円以下の場合などは例外となる。

源泉徴収は買主側の納付義務に関係する重要な手続であり、売主の最終税額とは異なる。売買契約時に売主の税務居住地、代金支払方法、納付期限などを確認しておくことが重要である。

賃貸時の実務

賃貸物件では、家賃収入、管理費、修繕費、固定資産税などの資料を年度ごとに整理する。非居住者への賃料支払いについては、支払者や用途に応じた源泉徴収の検討も必要となる。源泉徴収が行われている場合でも、確定申告による税額精算が必要となることがある。

売却時の実務

売却時には取得費、譲渡費用、所有期間、源泉徴収税額を確認する。日本で所得税を納付した後、中国側で国外所得申告が必要となる場合には、一定の要件と限度額の下で外国税額控除を検討できる。日本で納付したすべての金額が必ず中国で全額控除されるわけではない。

今後の確認事項

投資家は、日本と居住地国の間で実際に適用される国際徴収協力の法的根拠を個別に確認すべきである。今回のOECD発表から、日本と中国の間の新しい徴収制度の施行日や適用範囲を推定することはできない。日常的には期限内申告、納税、証憑保存を優先することが現実的な対応となる。

一次情報

OECDグローバル・フォーラム、2026年10月13日発表。確認日:2026年11月7日。