結論
国税庁は2026年9月24日に国税システムの更改を予定しています。今回の変更は不動産所得や譲渡所得の税率を変更するものではありませんが、日本不動産を所有し、日本で所得税・法人税・消費税などの申告を行う中国人投資家にとって重要な実務変更です。特に、税務署からの処分通知等をe-Taxで受領する場合、従来の申請等ごとの同意から、原則として事前の一括同意へ方式が変わります。
今回何が起きるか
国税庁の公表によると、9月24日のシステム更改に伴い、一部の書面申告書、申請・届出書、法定調書の様式が変更されます。また、申告書等閲覧サービスや開示請求で表示される申告書等には提出年月日が表示される予定です。さらに、e-Taxによる処分通知等の電子交付対象が拡大され、電子交付への同意方法も変更されます。
重要なのは、これまで電子交付を利用していた納税者についても、9月24日以降に電子交付を希望する場合には、原則としてe-Tax上で一括同意の手続が必要になる点です。以前の申告書で電子通知を希望していたという事情だけで、新制度下でもすべての通知が自動的に電子交付されるとは限りません。
中国人不動産投資家との関係
中国本土居住者が日本にマンション、一棟収益物件、店舗、土地などを所有している場合、日本で発生する賃貸所得や不動産の譲渡所得について日本側の申告が必要になるケースがあります。非居住者であることは、日本国内源泉所得について日本の課税関係がなくなることを意味しません。また、日本の管理会社、税理士、納税管理人等を利用している場合でも、納税義務者本人のe-Tax利用者情報や電子通知設定を整理しておくことが望まれます。
源泉徴収と最終税額は別
非居住者の日本不動産取引では、売却代金や賃料について一定の場合に支払者側で源泉徴収が行われる制度があります。しかし、源泉徴収された金額と、確定申告等によって最終的に計算される所得税額は同じ概念ではありません。例えば不動産売却で用いられる10.21%という数字を売却利益に対する最終税率と理解することはできません。賃料についての20.42%についても同様です。取得費、譲渡費用、必要経費、所有期間、所得区分その他の条件を踏まえた税額計算と、取引時の源泉徴収を分けて管理する必要があります。
中国側の申告とも資料を連携
中国の税務上、本人が中国の居民个人に該当する場合、日本不動産から生じる所得が中国における国外所得の検討対象となる可能性があります。この場合、日本で納付した所得税について中国側で外国税額控除を検討できる場合があるため、日本の確定申告書、納税証明、源泉徴収関係資料などの保存が重要です。日本と中国で単純に税率を加算して二重課税額を計算するのは適切ではありません。
実務上の確認事項
- 2026年9月24日以降にe-Taxへログインし、電子交付への一括同意設定を確認する。
- 税理士や納税管理人に申告を依頼している場合、誰が通知を確認するかを明確にする。
- 売却、賃貸、還付、更正の請求等に関する電子通知を見落とさない運用を決める。
- 古い書面様式を継続使用する場合には、最新様式の受付開始時期を確認する。
- 日本で納付した税額を中国側の国外所得申告に利用する可能性がある場合、申告書と納税資料を年度別に保存する。
今後確認すべきこと
今回の変更は税率改正ではなく行政システムと通知手続の変更ですが、海外居住者は日本国内の郵便物を即時確認できないため、電子通知の管理は国内居住者以上に重要です。特に不動産売却後の申告、更正、還付、税務署からの照会がある場合、通知確認の遅れが実務上のリスクになります。
一次情報は国税庁「国税システムの更改について」で確認しました。確認日は2026年9月9日です。