結論
財務省が2026年8月31日時点として公表した令和9年度税制改正要望で、国土交通省は住宅取得時の登録免許税軽減措置について、適用期限を2年間延長するとともに、床面積要件を50㎡以上から40㎡以上へ緩和するよう要望しました。都心の比較的小規模なマンションを購入する外国人投資家にとって注目度の高い内容ですが、2026年9月5日時点ではあくまで「税制改正要望」であり、成立済みの税制改正ではありません。
現在の軽減措置と要望内容
国交省資料では、住宅用家屋について一定要件を満たす場合の登録免許税について、所有権保存登記は本則0.4%に対し軽減税率0.15%、所有権移転登記は本則2.0%に対し0.3%、住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権設定登記は本則0.4%に対し0.1%と整理されています。
今回の要望は、この特例の期限を2029年3月31日まで2年間延長すること、床面積要件を50㎡以上から40㎡以上へ緩和すること、さらに2028年1月1日以降に土砂災害等の災害レッドゾーン内で新築された住宅を適用対象外とすることです。国交省は、住宅価格と金利の上昇により住宅取得者の初期負担が増えていることや、世帯構成の変化を要望理由に挙げています。
中国人投資家への意味
東京23区などでは、単身者向け・コンパクトタイプのマンションに40㎡台の商品が多く存在します。そのため、仮に床面積要件が50㎡から40㎡へ緩和され、その他の適用条件も満たせば、従来は面積だけで対象外だった住宅の一部が軽減対象となる可能性があります。中国人購入者にとっても、取得時諸費用を試算する際に注目すべき変更です。
ただし、この軽減措置を「外国人なら誰でも利用できる購入減税」と理解してはいけません。住宅用家屋に係る登録免許税特例には、取得する住宅、利用目的、登記時期、証明書等に関する要件があります。国籍のみで適用可否を判断する制度ではありませんが、投資用賃貸マンションとして購入するケースと自己居住用として取得するケースでは適用関係が異なり得ます。非居住者が日本に投資用物件を買う場合は、購入前に司法書士や税務実務担当者を通じ、実際に軽減税率を利用できるか確認する必要があります。
購入価格に税率を掛けるだけではない
登録免許税の計算では、売買価格と登記上の課税標準を混同しないことも重要です。広告価格が1億円だから、その1億円に0.3%を単純に掛ければ必ず移転登記税額になるという意味ではありません。土地・建物の課税標準、登記の種類、適用特例等を確認して司法書士が登記費用を試算するのが通常です。
中国側税務との関係
登録免許税は、日本不動産を取得・登記する際の日本国内の税負担です。一方、中国の居民個人が後に日本不動産から家賃を得たり売却益を得たりする場合の中国国外所得課税とは別の論点です。また日本で支払った登録免許税を、そのまま中国個人所得税の「外国税額控除」として扱えると考えるべきではありません。外国税額控除は、原則として国外で課された所得税性質の税額を対象として検討する制度であり、取得時の登記税・取引コストとは区別する必要があります。
災害レッドゾーン要件にも注意
今回の要望には、2028年1月1日以降に災害レッドゾーン内で新築された住宅を特例対象から除外する案も盛り込まれました。不動産投資では利回りや駅距離だけでなく、ハザード情報を購入前に確認する必要性が税制面からも強まる可能性があります。将来の売却時に買主側の税制メリットが変わる可能性もあるため、立地評価の一要素として確認すべきです。
現時点では「要望」である
最も重要なのは、今回公表された数字を2027年度以降の確定税率として契約書や資金計画へ固定的に入れないことです。今後、政府・与党の税制改正大綱、法案、国会審議、公布された法律・政省令を経て、実際の延長期間や適用条件が決まります。購入時期が2027年4月以降になる投資家は、決済直前に成立法令を再確認すべきです。
一次情報確認日:2026年9月5日。